さて、5/10にひらまつの通期決算が出ました。併せて、今期の決算見通しも発表されています。
まず、今期です。
2019-05-22
これまでの記事で足元の状況については触れていたので、詳細は割愛しますが、大幅な減益を余儀なくされています。減益の要因は以下のとおりです。

・店舗閉鎖損失
・原材料高騰
・ホテル事業への設備投資
・非正規雇用増に伴う人件費増


では今期の見通しはどうでしょうか。
2019-05-22 (1)
回復はしますが、前々期の水準には及ばないようです。

レストラン事業においては、リブランドした店舗(札幌)、イタリアンの新ブランドの店舗(※)が寄与するとのことです。新ブランドの店舗は代官山のカフェミケランジェロの姉妹店にあたるそうですね。

※カフェ&トラットリア ミケランジェロ広尾
https://www.hiramatsurestaurant.jp/michelangelo-hiroo/
2019-05-23

ここまでが足元の状況でした。
次に中期戦略として具体的に4点記載がありますので、見ていきましょう。

まず、1つめです。既存店事業の強化ということですが、具体策にまでは触れていないのでどう改善させていくのかはわかりません。ひらまつは良くも悪くも固定費が高いイメージが強いです。固定費を回収するには極限まで空席率を下げ、客単価も上げていく必要があります。上場企業であるため常に株主からは成長性への圧力があり、新規出店をせざるを得ないのかもしれませんが、まずは既存店事業を強化させる必要があるでしょう。これに対する1つの答えが後述する4つ目の戦略となるかもしれません。
2019-05-23 (1)
2つめです。レストラン事業で培ったノウハウをホテル事業に活かす戦略ですが、ホテル事業については今回は割愛し、今後ひらまつが経営するホテルに滞在する機会があればその際に記事にしようと思います。
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3つめです。人財の育成、大切です。ただ、世界の最先端レストランの動向をキャッチし、自らのレストラン運営に活かすって書かれると自分達で最先端を作るのではなく、世界の成功モデルを日本で展開する、悪く言えば「パクリ」になりかねません。次のインバウンドの話にも繋がりますが、日本には日本の良さがあり、ひらまつクラスの上場企業であれば訪日観光客の食ニーズを調査することにリソースを割き、自ら成功モデルを作って欲しいと思っています。海外の事例を日本で展開する、そこに訪日観光客が魅力を感じるのかという話です。だったら、日本で食べる必要はないんじゃないかと思うわけです。
2019-05-23 (3)
4つめです。上場企業に求められる成長性を実現するには、この4つめの取り組みが不可欠と考えています。今後の日本経済は少子高齢化、人口減少で縮小する一方、税負担も増すでしょう。実質賃金は下がり、日本人だけをターゲットに事業を展開すれば自然と客数は減少するしかありません。一方、政府は訪日観光客の増加を重要な政策として遂行しており、今後は東南アジア等に新興国の景気は上向きになり、どんどん日本へやってくる外国人は増えていきます。



先日あるフランス料理店のシェフと話していた時、「おかげさまで繁盛していますが、実は香港からのお客様がかなり多いんです。ある影響力のある香港からのお客様が来店いただき、その後その方の口コミで香港からの団体客などが一気に増えました。本当にありがたいです。」とおっしゃっていました。ここではお店の名前は出しませんが、特徴のあるフレンチでその特徴はまさしく日本らしさそのものでした。その特徴は他店にはありませんし、シェフが考え抜いて辿り着いたオリジナルの答えだと思いました。外国人に喜ばれる日本らしいオリジナリティを前提として集客を進めていくことが大切だなと思いました。海外の富裕層の金持ちレベルのは日本のそれとは次元が違いますし、この海外の富裕層の取り込みが収益性を考える上でもかなり重要な要素なのではないでしょうか。
2019-05-23 (4)

最後になりましたが、マクロでは日本経済縮小、ミクロでは原材料高騰、人材不足等々、飲食店を取り巻く環境は厳しさを増す一方です。
個人的には利益率を上げる取り組みとして規格外原材料の一部導入(味は変わらないのに規格外という理由で商品とならない、もしくは低価格となるものがたくさんある)、またレストランでの廃棄損をなくす取り組み(このあたりのプラットフォームを作っていくのは起業家の役割)、IT化等がまずあると思います。売上に関してはひらまつのようなグローバル化への取り組みが不可欠だと思います。

ひらまつは上場企業で経営に関する情報を開示しているため、今後も動向を追っていきたいと思います。
2019-05-27 (1)